流しの二人

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[BOOK] 御手洗潔対シャーロック・ホームズ / 柄刀一 

 

御手洗潔モノの短編、「青の広間の御手洗」・「シリウスの雫」の2本と、
ホームズモノの短編、「緋色の紛糾」・「ボヘミアの秋分」の2本、
そして、両者の共演する中編「巨人幻想」を収録。
御手洗潔とシャーロック・ホームズという日英・ニ大探偵を大胆に扱ったパスティーシュ作品であります。

【青の広間の御手洗】
2000年10月9日、石岡和己の誕生日に、「彼」は帰ってきた。
古巣の部屋でギターを調弦し、弾き始めたのは<エアジン>。

隅から隅まで、いかにも御手洗潔的。

特に目を引くミステリ的な仕掛けがあるわけではなく、「脳」に関する御手洗の講釈が大分を占めるため、物語自体の面白さはあまりない気がします。
しかしそれでも、御手洗の魅力だけでも十分に読める仕上がりで、御手洗好きにはたまらない短編になっておるのですよ。

【シリウスの雫】
逆さ階段のある巨大遺跡と逆さまの死体の謎。
「パロディ・サイト事件(下)」にも収録されていた作品ですが、再読してみました。
スケールの大きい仕掛けは非常に上手くできていて、想像するのが楽しいですね。
いかにも本家が書きそうなネタだなとニヤニヤ。

【緋色の紛糾】
なぜかホームズ氏は二子玉川に住んでいて、街中の移動は馬車、という具合で、既にファンタジーであります。

タイトルはホームズ初登場作・「緋色の研究」からとっているものの、内容はオリジナル。
ワトスンとの出会いの回想シーンは現代風(?)にアレンジされ、作中には、かの名台詞(「糸」のくだり)も登場したりと、ニヤリとさせられる記述がてんこ盛りです。
ワトスンの描写は、よりいっそう「ワトスン」たるべく、より滑稽にディフォルメされている感もあったりして。

「ダイイングメッセージ」モノとしては、拙者はあまり面白いとは思わないのだけど、ホームズやワトスンの言動は楽しめますた。

【ボヘミアの秋分】
内容は完全に「ボヘミアの醜聞」のリメイク的なものになっています。
「醜聞」はホームズの失敗談として有名ですが、本作では見事にその汚名を返上する形になっておりますな。

【巨人幻想】
二体の巨人と誘拐事件。
こりゃまたスケールの大きいトリックであります。
ホームズと御手洗の対決も、極めてそれらしく、面白い。


以上、なかなかハイレベルな中・短編集に仕上がっておるのではないかと。
ただ、色々な意味で整然とし過ぎな感もあって、全体的に少々淡白な印象があります。
なんとなく、「アクがない」とでもいいますか。

その辺は最後にあとがき代わりに収録されている本家・島田荘司による「石岡和己対ジョン・H・ワトスン」で補給できたりもするのですが。
というか、ぶっちゃけ、この最後の石岡vsワトスンが一番面白かった罠。
シマソー、ノリノリで書いてるなコレ(w
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[2005/09/25 23:55] BOOK | TB(0) | CM(0)

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