流しの二人

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[BOOK] 扉は閉ざされたまま / 石持浅海 

 

いわゆる倒叙モノ・ミステリ。
冒頭で殺人が犯され、殺害現場の一室は犯人によって密室状態にされます。
読者には犯人、そして密室トリック自体もバラされている、という形式ですな。
探偵役はいかに犯人を追いつめるか、というのがキモです。

本作で面白いのは、いったん犯人によって閉ざされた部屋の扉は、そのタイトルに違わず、最後の最後まで開かれない、というところでしょう。
つまり、探偵役は殺害現場を直に検分することができないのであります(それどころか、死体を発見することさえできない)。

さて、こういった倒叙形式のミステリでは、犯人と探偵役との頭脳戦・駆け引きがメインとなるため、それぞれには個性的なキャラクタが配されることが望ましいと思うわけです。
これを本作についてみてみますと、犯人は冷静でありながら熱血要素も持ち合わせるリーダー格の男性、探偵役は頭が良くかわいらしいが、"冷たい"女性、といった感じで、両者ともに、それほど個性的ではなさげであります。
けれども、両者の間に恋愛感情と過去の経緯等が絡むので、その部分の味付けで面白く読めてしまったり。こういうのはわりと好きだな。

本作で最大の瑕疵は犯行動機にあると思われますが、個人的にはギリギリ許せるレベル。
死体を一度も目にすることなく、探偵役が犯人を追いつめてゆくシチュエーションは非常に面白いと感じたので、動機の瑕疵はまあ目をつむっても良いかなあ。

最後の展開は他の倒叙モノに前例がないわけではないので、もうちょっとヒネって欲しかった感はありますな。
ちなみに拙者なら、迷わず優佳と組みますが何か?

つわけで、瑕疵は目につくものの、読んで損はしない良作ではあるかなと思います。


余談。
本書のタイトルは、岡嶋二人の傑作「そして扉が閉ざされた」を連想させますが、シチュエーションは全く異なりますし、特にオマージュとして想定しているわけではないっぽいですな。
ちょっとばかり期待したんだけどなー。

あと、この装丁はもうちょっとなんとかならんかったんかい(w
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[2005/09/28 18:38] BOOK | TB(0) | CM(0)

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