流しの二人

  • Author: 流しの二人
  • ここにゃ何もありゃしない。





スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

[--/--/-- --:--] スポンサー広告 | トラックバック(-) | コメント(-)

[BOOK] I give her all my love that's all I do 

井上夢人さんの新刊 『ラバー・ソウル』 が久しぶりに出た。
題材が題材なだけに、以前から注目しまくりだったのだが、やっと読めた次第。
今回も非常に著者らしいギミックが炸裂した、年間ベスト級の良作に仕上がっていると感じた。
いわゆるアンフェアとされるミステリ・ルールのひとつの逆をいくことで、ギリギリアンフェアになることを回避する、という試みがなされた一品といえる。

先行する有名な某国内作品にテイストは似ているけれど、そちらとは違った魅力が本作にはある。 まあ、それに似ていると言われることは作者サイドには想定された事態だろうと思われる。
この作品の最大の魅力は、ビートルズの楽曲の "意味付け" が見事に物語と融合している点にあるんじゃなかろうか。

ビートルズの同名アルバムをモチーフとする本作は、そもそも筆名からしてビートルズの曲名 (I've Just Seen A Face = 夢の人) に由来する著者が満を持して放った、ビーヲタ純愛ミステリとでも言うべき作品。
各章タイトルにはラバー・ソウルの各曲名が配され (ボーナストラックとしてさらに当時のシングル盤から2曲が加えられている)、章の内容も各曲の詞に沿うものとなっている。 各章を読む前に、それぞれの曲の歌詞を眺めてから読むと、よりいっそう楽しめるんじゃないかと思ふ。 そのリンクのハイセンスっぷりには、舌を巻いた。

ラバー・ソウル以外のビートルズの楽曲も登場するのだが、それぞれの使い方が、これまたニクい。
拙者も大好きな 『Maxwell's Silver Hammer』 なんかも作中では効果的に使われていて、非常にニヤけた。
ちょっとしたビートル薀蓄なんかも、サラリと嫌味にならない程度にちょいちょい出てくるので、勉強になったりもする。 拙者はマニアと言えるほどのビートルズの知識はないので、そういった部分をとても面白く読んだ。
しかも、こうしたビートルズ風味の味付けは単なる飾りではなく、物語のメイントリックと深く関わっているのが素晴らしい。 特にボーナス・トラックとして加えられた2曲の意味付けが抜群に素晴らしいと思った (作中では明示されないのだが、読了後その歌詞を見れば、容易に想像はつくだろう)。

一見すると、単純なビーヲタ・ストーカー殺人事件なのであるが、結末にはしっかりとしたどんでん返しが用意されており、前述の某国内作品が未読であれば、おそらく一般的には相当な驚きがあるのではないかと思われる。
拙者は既読だったりその他色々観たりしてるんで、実はそれほどでもなかったのだけれども、最終章の 『We Can Work It Out』 の意味には、グッときたのだ。 いや、この余韻は、かなりイイですよ。

そして、もしも療養中の暇をもてあました福山芳樹氏に、本を1冊差し入れるとするならば、これほど好都合な作品はないとも思うのだった。
あるいは、もう既に読んでいるかもしれないけれどもw、未読であるなら、是非とも読んで頂きたい1作だ。
スポンサーサイト

[2012/06/24 18:45] BOOK | TB(0) | CM(0)

05 | 2012/06 | 07
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30




上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。