流しの二人

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[BOOK] 黄金蝶ひとり / 太田忠司 

 

講談社の「ミステリーランド」も現時点で16冊と、刊行予定の半分以上が出揃ったので、そろそろ感想を書いでおこうかと思ったり。

まずは本書、「黄金蝶ひとり」を採りあげてみます。


五年生の夏休み、洸(たけし)は物心がついてから一度も会っていない祖父・白木義明の住む茶木村で過ごすことになった。アサギマダラという蝶が群れとび、鍾乳洞があり、豊かな自然が残る村には、山を守る“テツ”がいるという。「茶木牧場&白木万能学研究所」なる看板をかかげた祖父は、あらゆることの先生として、村民から尊敬されていた。だが、なにか皆に秘密にしていることがありそうだ。村にかくされているという宝と関係があるのか…。ある日とつぜん祖父が姿を消した。茶木村を観光地化しようと前村長の不良息子が会社社長となって戻ってきたのと、関係があるのだろうか。彼の真の狙いは村の宝にあるのでは…。


現在刊行されている16冊の多くが大人の暗黒面(児童虐待だとか、特殊な性的嗜好だとかetc...)を盛り込んでくる中、本書は清々しいまでに「子ども向け」の内容になっています。
もっとも、この「子ども向け」というのは作品のクオリティの低さを意味しません。
むしろミステリ小説としての完成度は非常に高いと思いました。

冒頭に挿入される、「読者への挑戦」。
論理パズルやミステリとしての仕掛け。

どれも直球勝負。
ミステリを読みなれてしまっていると、どの仕掛けも既読のものばかりでしょうが、それでもなお、物語にはワクワクし、軽いノスタルジーすら感じ、楽しめたのでした。

素晴らしいのは、本書が、この本をきっかけに、さらに他のミステリに興味を抱かせるような作りになっていて、初歩のガイド役まで果たしてくれるという点です。
この本は是非とも小学生くらいの子どもに薦めたい。
いわゆる「アブナイ」シーンや描写は皆無ですので、変な弊害を気にすることもないでしょうし(個人的には、そういった描写があるから子ども向けとして即失格、などとは思いませんが)。

この本を読んで思い出されたのが、小学生のころに学校の図書室で読んだ、エドガー・アラン・ポオの小説達のことであります。
中でも「黄金虫」は、幼き日のワクワク要素の大半が詰め込まれていたといっても過言ではなくて、凄く思い出深い作品でした。
だからこそ、本書のアレを見たときは、それだけで嬉しくなってしまいましたとも。

そんなわけで、「かつて子どもだった」(ミステリ好きな)大人の方にとっても、十分鑑賞に堪えうる作品であると評します。
是非読んでほしい一作です。
[2005/09/29 20:01] BOOK | TB(0) | CM(0)

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